めだかの学校 楽譜ドレミ完全ガイド|初心者から保育士まで使える練習法と入手方法
「めだかの学校」という童謡を知らない日本人はほとんどいないだろう。幼稚園や保育園で歌い、小学校の音楽室でリコーダーを吹き、そして親になってからは子どもといっしょにまた口ずさむ。世代をまたいで繰り返される、まさに日本の春の代名詞ともいえる一曲だ。この記事では、めだかの学校の楽譜ドレミをいざ弾いてみたいと思っている初心者の方や、保育士試験に備えたい方、あるいは子どもに教えたい親御さんに向けて、楽譜の種類・入手方法・効果的な練習のコツを丁寧に解説する。
「めだかの学校」はどんな曲?まず知っておきたい背景
「めだかの学校」は、作詞:茶木滋、作曲:中田喜直による童謡で、1951年(昭和26年)3月にNHKのラジオ番組「幼児の時間」で発表された。戦後の混乱期に生まれたとは思えない、のびやかで明るいこの曲には、ちょっとしたドラマチックな誕生秘話がある。
NHKから「春らしいのんびりした明るい歌」の作詞を依頼された茶木滋は、戦後に神奈川県小田原市の荻窪用水周辺を幼い息子と歩いていた際、息子がめだかを見つけたエピソードを思い出してこの詞を書いた。息子が大声を出してめだかが隠れてしまったとき、「大丈夫、またくるよ。だってここはめだかの学校だもん」と返したという子どもらしい言葉が、のちに国民的童謡の核心になった。なんとも味わい深い話だ。
作曲を依頼された中田喜直は、有名な「早春賦」の作曲家・中田章を父に持ち、東京音楽学校を卒業後は幼児の歌であってもその詩に最もふさわしい曲を作るよう努めた人物で、「夏の思い出」「雪のふるまちを」「ちいさい秋みつけた」なども彼の作品だ。そういった大作曲家の手がけた曲だけあって、シンプルに見えるメロディの中にも、繰り返しの使い方や強弱のニュアンスが巧みに織り込まれている。
発表当初は「新しい童謡はなじみがなくつまらない」「昔からある童謡がいい」などと批評されたこともあったが、やがて日本中に知れ渡り、1954年(昭和29年)には文部省芸術選奨文部大臣賞を受賞した。さらに2007年には「日本の歌百選」に選ばれた。時代を超えた名曲が、最初は批判を受けていたとは、少々意外に感じるかもしれない。
ドレミ付き楽譜とは何か?初心者に嬉しい理由
ピアノや鍵盤楽器を習い始めたばかりの人が最初にぶつかる壁は、音符と鍵盤の対応関係を素早く把握することだ。五線譜を見ながら「この音はどの鍵盤?」と毎回考えていると、演奏のテンポが崩れてしまう。そこで威力を発揮するのが、五線譜の各音符のすぐ上や下に「ド」「レ」「ミ」などのひらがなで音名を記した「ドレミふりがな付き楽譜」である。
ドレミふりがなと指番号が付いた楽譜は「ピアノをはじめたての方でも、気軽にチャレンジできる楽譜」として近年広く普及しており、指番号&ドレミ付き・指番号のみ・ドレミなしの3段階でステップアップできる構成のものも登場している。最初はドレミを見ながら練習し、次第にふりがなを外していくことで、自然と楽譜を読む力が育っていく。
「めだかの学校」は音域が狭く、メロディのリズムも規則的なので、ドレミ付き楽譜の練習曲として非常に向いている。ピアノを始めてまだ数週間という子どもでも、弾き切ることができる。それがこの曲が幼児教育や保育の現場で長年使われ続ける理由のひとつでもある。
楽譜の種類と難易度別ガイド
「めだかの学校」の楽譜は入門・初級・中級と難易度別に分かれており、入門版ではドレミの音階を付けてハ長調に移調し、基本的なコードの根音で左手の音を構成したものが多い。右手のメロディーラインを使えばリコーダーやピアニカなど他の楽器でも演奏できる。
初級版になると少し様相が変わる。前奏がつき、左手の伴奏が難しくなる。また原曲同様のニ長調となっているため、黒鍵の位置に注意が必要だ。中級版はある程度ピアノが弾ける方向けで、表現の幅も広がる。どの難易度から始めるかは、自分の現在のレベルと目標によって選ぶといい。
ピアノ伴奏譜(弾き語り)の場合は簡易伴奏の2段譜が多く、右手でメロディーを弾く構成になっている。幼児教育や小学校低学年の教材として広く扱われている曲だ。また、初心者向け楽譜の中には、ドレミつき・指番号つき・歌詞つき・YouTubeのQRコードつきという充実した仕様のものもあり、ピアノが苦手な方でも弾きやすいよう左手を基本単音で構成したものも存在する。
さらに鍵盤楽器だけでなく、ハーモニカ譜、ソプラノリコーダー譜、ウクレレ譜、アンサンブル譜なども流通している。子どものリコーダー練習や合奏の場でも、この童謡は定番中の定番だ。
楽譜の入手方法:無料・有料それぞれの選択肢
楽譜の入手方法は大きく分けて、無料で閲覧できるものと、有料でダウンロード・印刷できるものがある。まずは両者の特徴を整理しておこう。
著作権保護期間中の楽曲のため、無料で公開されている楽譜はダウンロードや印刷ができない場合がほとんどで、閲覧のみとなることが多い。それでもリンク先で拡大表示し、画面を見ながら練習することは可能だ。無料楽譜は手軽に試せる反面、印刷クオリティやアレンジの充実度では有料版に劣ることが多い。
有料楽譜については、ドレミふりがな&指番号つきのピアノ伴奏譜(弾き語り・超初級)は220円〜280円程度で購入でき、保育士実技試験課題曲としても使われた実績がある。楽譜上に音階と指番号が記載されており、演奏のアドバイスも付いているものもある。
コンビニ印刷に対応したサービスも広がっており、スマートフォンから手続きして近くのコンビニでA3サイズに印刷するという使い方が定着している。プリンターを持っていない家庭でも気軽に高品質な楽譜を手に入れられる時代になった。なお、著作権保護期間中の楽曲を人前で演奏する場合には、JASRACなどの管理団体へ別途申請が必要になる場合がある点に注意が必要だ。
ピアノ初心者がドレミ楽譜で練習するときのコツ
楽譜を手に入れたら、いよいよ練習だ。ただ、やみくもに弾き始めるよりも、ちょっとした順序を意識するだけで上達のスピードが大きく変わる。
まず最初にやるべきことは「曲全体を聴くこと」。実際に音源を聴いてから楽譜を見ると、音符とメロディがつながりやすい。特に初心者の場合、音符を読むより先に耳で覚えてしまうほうが効率がいいケースも多い。
次に、右手だけでゆっくり弾く練習から始める。「ドレミふりがな・指番号付き」の楽譜でお手本演奏動画を見ながら練習し、慣れてきたら「指番号のみ」の楽譜に切り替え、最後に「ドレミふりがな・指番号なし」の楽譜で演奏練習をする。鍵盤を見ずに弾けたら合格の目安だ。
左手の伴奏が難しいと感じるなら、入門版のように左手を単音に簡略化した楽譜を使うといい。「めだかの学校」のメロディ自体はシンプルで覚えやすいため、右手が安定したら左手を足す、という段階的なアプローチが効果的だ。毎日短時間でも継続することが、ピアノ上達の最短ルートだと多くの指導者が口をそろえて言う。
保育士試験・幼稚園教諭の実技試験にも重要な一曲
「めだかの学校」は、平成25年度(2013年)の保育士実技試験課題曲にも選ばれた実績がある。そのため保育士や幼稚園教諭を目指す方にとって、この曲の伴奏を弾きこなすことは非常に現実的な目標となっている。試験では歌いながら伴奏を弾く「弾き語り」スタイルが求められることが多く、両手をスムーズに動かしつつ歌声を安定させる必要がある。
試験対策として特に意識したいのは「テンポの安定」と「強弱の表現」だ。中田喜直が楽曲に込めた繰り返しの工夫——「そっとのぞいてみてごらん」を2度歌う際、2度目をより静かに——という意図を演奏に反映できると、審査員にも好印象を与えられる。技術だけでなく、曲の背景や表現意図を理解した上で弾くことが、実技試験突破のカギだ。
「めだかの学校」の原曲キーと移調について
原曲はニ長調(D major)で作られている。ニ長調には「ファ♯」と「ド♯」の2つの黒鍵が含まれており、ピアノ初心者にはやや難しく感じることもある。そこで初心者用の楽譜では、黒鍵を使わずに済むハ長調(C major)に移調されているものが多い。入門版の楽譜ではハ長調に移調されており、基本コードの根音で左手を構成しているため、始めたばかりの方でも白鍵だけで演奏できる。
一方、初級版では原曲同様のニ長調で書かれているため、黒鍵の位置に注意しながら練習する必要がある。難易度が上がる分、原曲に近い音色で演奏できるのが魅力だ。どちらを選ぶかは、練習の目的と現在のレベルに応じて判断しよう。リコーダーやピアニカで演奏する場合は、担当する楽器の特性に合わせて移調楽譜を選ぶことも大切だ。
この曲が持つ文化的な重み
1988年(昭和63年)には荻窪用水周辺に「めだかの学校」の歌碑が建てられ、2005年には作曲者の中田喜直が在住していた横浜市旭区のこども自然公園にも歌碑が建てられた。神奈川県横須賀市の三笠公園脇や、埼玉県久喜市、和歌山県すさみ町にも碑が存在する。
単なる子ども向けの歌にとどまらず、日本の田園風景や親子の情景を後世に伝える文化財として、この曲は各地に刻まれてきた。現在、メダカは絶滅危惧種に指定されており、昔のように川でメダカを見かける機会はめっきり減ってしまっている。だからこそ、この歌は時代を経るにつれてむしろ懐かしさと切なさを帯びるようになった——単純な童謡の域を超えた、ある種のドキュメンタリーとして。
ドレミ楽譜でめだかの学校をマスターするための実践まとめ
「めだかの学校」のドレミ付き楽譜を活用した学習は、ピアノの入門段階から保育士試験対策まで、実に幅広い場面で有効だ。入門レベルならハ長調のドレミふりがな付き楽譜でまず右手のメロディを弾けるようにし、慣れたら左手を加える。初級以上を目指すなら、ニ長調の楽譜に挑戦しながら黒鍵の扱いにも慣れていく。試験対策には弾き語りの伴奏譜を使って、歌とピアノを同時にこなす練習を重ねることが不可欠だ。
楽譜の入手方法はオンラインダウンロードやコンビニ印刷など多様化しており、以前と比べて格段にアクセスしやすくなっている。大切なのは、一度手に入れた楽譜を繰り返し練習すること。華やかな技術より、丁寧な音楽表現を目指すこと。「そっとのぞいてみてごらん」という歌詞の世界観を指先から伝えられる演奏こそ、この曲の真価を引き出す。
70年以上にわたって歌い継がれてきた「めだかの学校」。その音符のひとつひとつを自分の手で弾けるようになったとき、きっと特別な感情が湧いてくるはずだ。